三井物産環境基金活動助成
「環境学習を通じた持続可能な社会システムの実証的開発」
持続可能な社会構築は、環境分野における持続可能性を担保するだけでは充分でなく、社会や経済分野との統合を抜きには達成できない総合的課題です。 文部科学省においてもこの度、新学習指導要領に「持続可能な社会」という考え方を盛り込み、これからの社会のあり方を問い直す流れになっており、社会ニーズは高まってきています。
本事業では、西宮市の各世代の市民や各主体が、身近な地域において環境学習や活動を相互支援により日常的に実践できる学び合える環境を構築し、またその成果を地域に還元する仕組みを制度化することによって住民の環境意識がより醸成され、個人と地域をつなぐ活動循環が起こり地域全体のスパイラル発展を自立的に推進できる持続可能な社会システムづくりを行うことを目的としました。
2009年10月から2012年9月までの3年間
本事業では、これまで当協会が西宮市との協働で実施してきた環境学習事業のノウハウやしくみをさらに発展させ、各世代・各主体の参画と協働で地域に根ざした自発的な環境学習・活動が日常的に実践されている地域社会を創造するため、人材・資金・情報・運営・交流の5側面で活動のしくみを強化するプログラムを実施するとともに、持続可能な社会システムの構築につながるよう制度設計を行いました。
西宮市では、地域単位での環境活動を推進するためエココミュニティ会議を市内全域での設置を進めており、このエココミュニティ会議単位で活動が自立発展する仕組みを実現することが求められています。
そのため、「環境学習支援地域人材養成」「市民のエコ活動買取制度開発」「地域学習情報検索システム開発」「組織運営マネジメント力養成」「エココミュニティ会議相互交流促進」の5側面から支援プログラムを開発実施しました。
地域の諸問題に取り組むためには、その地域の歴史や文化、自然について理解を深めることが重要であり、そのことが地域への愛着や未来を展望することにつながります。 こうした地域理解を促進させる人材として、「過去を伝える市民(語り部)」と「今を伝える企業」を考えており、各エコミュニティ会議のエリアから人材を掘り起こしていきます。
エコミュニティ会議が設置されている地域の小学生から大人までの市民が取り組んだエコ活動の年間総数を集計し、当協会・西宮商工会議所・西宮ロータリークラブで設置した「持続可能な地域づくりサポート基金・にしのみや」からエコ活動総数に応じた金額(上限10万円)を活動支援金として地域に支給する制度を確立しました。
https://leaf.or.jp/PDF/kikinpanfu1.pdf | https://leaf.or.jp/PDF/kikinpanf2.pdf |
地域住民や学校の教員が地域理解を深めるために、各小学校区(40)の歴史、文化、自然、生活、環境活動支援施設・事業所、防災などの情報を写真や文章で入手できる検索システムで、年代やフリーワードからも検索が可能です。 また、地図情報ともリンクさせており、「電子国土」からの検索も行えます。
エココミュニティ会議は、地域の各種団体や事業者、行政職員によって構成されていることからそれぞれの意思を尊重しながら、全体としての意見をまとめ、活動の方向性や具体的な活動内容を決定していくためには、コーディネート力が求められます。
こうしたことから、会議運営や活動の企画立案、資金確保、事務局運営等に関する実務的な学習を各エココミュニティ会議の役員対象に実施したり、西宮市全体の自然環境や防災課題などを見学するバスツアーなどを行いました。
今後、活動の継続性を担保するためには、各エココミュニティ会議においてコーディネート能力を持った人材の育成を継続するとともにネットワーク化を図ります。
全市のエココミュニティ会議の交流については、西宮市の意向もあり行政が呼びかけで行い、全体のコーディネートを当協会が担って実施しました。 毎回、年度末に実施されている環境パネル展の会場で交流会を行うことによって、エココミュニティ会議関係者同士のみならず、子どもから大人までの市民、企業などの取り組みからも学ぶ機会ともなっています。 また、全市の環境まちづくりの推進母体である環境計画推進パートナシップ会議の関係者の参加も増え、地域活動の重要性やこれからの市民社会のあり方への理解する場となっています。
さらに、持続発展教育や持続可能な地域づくりへの幅広い市民の理解を求めるためのイベントとして、各種団体が協働で実施する「ふるさとウォーク」が定着し、毎年、約8百人の市民が参加しています。