地域学習支援情報 検索システム

はじめに

地域学習情報提供システム開発のねらい

このシステムは、地域住民や学校の教員などが地域理解を深め、まちづくりや学習活動に役立ててもらうために作成したものです。 小学校区(40)毎に、歴史、文化、自然、生活、防災、環境活動支援施設・事業所などの情報を年代別に整理し、国土地理院の公開地図上にもプロットしています。 各ポイントの情報は、活動分野ごとに写真や文章で入手でき、施設や事業所へはリンクを行い、さらに詳しい情報が入手できます。 今後は、利用者からも情報提供をいただくようにし、継続的に情報の追加・更新を行っていきます。

1995年阪神淡路大震災を踏まえた新たな地域学習の視点

阪神淡路大震災の後、子どもたちの中には「自然は怖い」「自然が嫌い」「地球にはかなわない」といった感情が生まれ、それまでの自然に対する「自然は素晴らしい」「自然は恵み」「自然と仲良くなろう」といった考え方だけでは、本当の自然とは向き合えないということを思い知らされました。 しかし、私たち人間は自然の中でしか生きていけないのも現実です。 人間にとって都合のいい自然とだけ「共生」するというはできません。 「自然災害」との「付き合い方」も身につけなければならないということに気付かされました。

「自然・環境」と「防災」という2側面から私たちの地域や暮らしを捉え返し、自らの意識や社会の制度を見直してみようと、1996年に西宮市で「セイフティ&エコガイド事業」が立ち上がりました。 同事業で地域の自然やまちのしくみ、人々の意識を振り返るための視点が整理されました。

自然のしくみ まちのしくみ 暮らしのしくみ 人の意識
地域の地歴 町の変遷 自活力 自然生態系の理解
地域の土地特性 町の特性 代替ライフライン 自然災害の理解
地域の気候や風土 都市機能 自宅などの構造 自然界から学ぶ力
地域の生態系 コミュニティー 消費生活 ライフスタイル

公共空間 ごみ・リサイクル 地域への愛着

■ 自然のしくみ

地域の地歴 地域の土地特性 地域の気候や風土 地域の生態系
5000年前 海抜(高さ) 地震断層の有無 陸域の生物相
1000年前 平地、斜面(形状) 台風の通過頻度 水域の生物相
500年前 河川、池沼の有無 局所的豪雨地域 身近な生き物
50年前 地下水脈の有無 地滑り地域 広域的な生物の
つながり
5年前 後背地の状況 高潮地域

地盤の性質


造成の有無

■ 町のしくみ

町の変遷 町の特性 都市機能 コミュニティ 公共空間
町の誕生 町の性格 食物の自給力 地域活動の
活発度
地域の自立性
町の歴史 街区整理状況 生活範囲 祭りなどの有無 防災施設等の
表示
町・地名の由来 建築物の種類 水循環のしくみ 地域の取り決め 廃棄物処理
町の産業など 民家の密集度 エネルギー循環の
しくみ
ボランティア活動 行政との接点
緑地面積の大小 道路、鉄道網 物流のしくみ 情報の伝達ルート 事業所との接点

■ 暮らしのしくみ

自活力 代替ライフライン 自宅などの構造 消費生活 ごみ・リサイクル
野外生活技術 井戸の保存 耐震構造 家財資産スリム化 物品購入の抑制
農作物の
栽培技術
用水の再利用 風水害への配慮 保存食の見直し ごみの
排出量抑制
基礎体力の維持 雨水貯留 地盤改良
リサイクルのしくみ
町の地理把握 太陽光発電 緑化推進



室内環境

■ 人々の意識

自然生態系の
理解
自然災害の理解 自然界から
学ぶ力
ライフスタイル 地域への愛着
生態系のしくみ 地球の構造 気象・気候の
変化
エネルギー
省力化
地域学習
人間活動の影響 自然災害の発生
メカニズム
動植物の変化 <3R>
廃棄物削減
再利用
再生使用
地域活動に参加

不可避性 自然との
対話能力
自然保護意識 環境学習に参加

最小限被害
環境配慮優先 ボランティア意識




社会活動に参加

学習支援情報は、地域の語り部が作成した資料が基本

こうしたことから地域の歴史や自然の移り変わりについて理解し、次世代に伝えていく市民の「語り部」養成が必要だと考え、西宮市内の自然や歴史、防災について体験しながら学ぶ「語り部養成セミナー」が実施されました。 (後述)そして、受講生が自ら「語り部」となり、子どもや市民に地域のことを伝えていく役割を担ってもらうしくみが誕生しました。 1997年、「語り部ノートにしのみや(セイフティ&エコガイド資料集)」が作られました。 この資料集は、西宮市の歴史、自然、文化について地区別にまとめたもので、震災後に実施された「環境ボランティアセミナー」での故近藤浩文氏(当時西宮自然保護協会副会長)の講演テープを元に西宮市の環境学習事業のサポートボランティア(EWCボランティア)が文章化、加筆し、編集されました。 これを教材として、以降、語り部養成セミナーが毎年実施されることになりました。

2001年度は市内を9地区に分け、それまでの語り部セミナー受講者が5~6名で各コースを担当するとともに「語り部ノート」の見直しを行い改訂版も作成されました。

本情報提供システムでは、この語り部ノートに掲載されている各ポイントの情報が基本となっています。

12の分野で地域情報を整理

学習支援情報は、大別して4つのカテゴリーに分類し、さらに12の分野に分けられています。 一つの情報の中に、複数の分野を有するものもあります。 各種官公庁などからも情報を入手しましたが、まだまだ情報量が十分ではありません。

今後は、歴史的に重要な資料や現地でないと分からないような情報も含めて体験的学習を楽しめる情報の収集整理を進めていきます。

【自然分野】
(1)山・森林 (2)川・池・池沼 (3)海浜 (4)公園 (5)ビオトープ
【生活分野】
(6)資源・ごみ (7)エネルギー (8)水 (9)消費生活・経済
【歴史・文化】
(10)歴史・文化
【活動】
(11)防災 (12)環境活動支援

地図と連動したシステム ~地図には標高も記載~

学習情報は、国土地理院の地図情報システム「電子国土」とも連動しており、各ポイントの緯度・経度をもとにプロットされています。 また、地図には標高も記載されていることから、防災面から地理・地形を読み解く資料として中学校や高等学校の地理などでも活用していただけます。